かなりアツいストレージサービス Glacier が aws に登場しました。「ぐれいしゃー」と読むらしいです。
Glacier
通常のコスト重視の運用ではあり得ない耐久性 99.999999999% としながらも1GBあたり1月に $0.011 という価格(保存しておくのにかかる料金、北カリフォルニアリージョンの場合)で、あれやこれやという使い道が想像できます。
Glacier のキモは、壊れにくく低価格のストレージだけれども、リクエストしてすぐにデータが取り出せるのではないという点です。 すぐに取り出す必要がある場合にはS3を使う事が推奨されています(S3にはもっといろいろな機能もある)。
すぐに思いつく用途としてバックアップがあります。既にTLでバックアップ用途に使おうかというツイートを見かけています。 たしかに、1TBのデータを持っている人がバックアップに要する料金はひと月に$0.011×1000GBで、$11だけです。 取り出す料金は別途かかりますが、バックアップならほとんど取り出す事もないので気にする必要はないでしょう。 繰り返すと、1TBをバックアップするのに必要な料金は、ひと月に $11=79.4200円×11=873.62円 だけです。 さて、昨年の3月11日以降、個人データのバックアップは別の局面を迎えました。 それまではHDDの破損に備えて外付けHDDにrsyncしておけば問題ないだろうと考えられていました。
今、同じ場所に物理的なHDD2つにデータが冗長化されていることは今まで通りの意味を持っていません。 子供の小さなころからの写真やビデオ、既にうちには350GB分のデータがあります。 日本ではなく、北カリフォルニアリージョンのGlacierに置くのはどうでしょう? $0.011×350=$3.85=79.4200円×3.85=305.767円です。年間にして3600円くらい。上上です。
Crashplan+ Unlimited
実は、これまでCrashplan+ Unlimitedというクラウドバックアップサービスを使っていました。1つき$5.0で容量無制限。 監視対象のディレクトリを指定すると、変更を察知して自動でバックアップします(Windows/Mac OSX)。
4年間前払いすると、1つき$3.0を割ります。ただひとつの問題は、回線速度が遅いことでした。Crashplan+には250GB程度の バックアップをしていましたが、ひと月以上の時間が初回のバックアップにかかりました。
Mountain Lionにバージョンアップする際に軽い気持ちでクリーンインストールをしてしまったのが命取り。 ファイル構成をいろいろいじってしまったので、初回バックアップのやり直しのために再びマシンを起動したままの日々が続くとおもうと、もうやる気が起きませんでした(マシンを落としても起動時に続きからバックアップを開始します、念ため)。
実測、300kbps程度(40Kb/Sec)。後述のBackblazeを除く安価なクラウドバックアップの中では速い方でした。 サービスによっては、一定容量以上になると帯域制限をされるものもあるなか、そういった制限は感じられずヘビーユーザに優しいと感じました。
Backblaze
そこで、 Backblaze です。値段はひと月$5.0なのでCrashplan+と同じですが、圧倒的なスピードと、リストアの方法に魅力を感じました。2年前払いするとひと月$4を割ります。
** '2017年6月の状況'_ を追記しました。 **
無料お試しが14日間できるのですが、前述のCrashplan+だと初回のバックアップが終わらない期間です。Backblazeは スピードテスト を提供しており、アカウントを作る前でも速度の予測ができます。
実際に私の環境でバックアップをした際には、 スピードテスト の結果よりも速いピークをたたき出しました。ピーク転送速度は 32mbps を超えた(4MB/Sec)のです。スピードテストでは速度が出きらない事があるのでしょう(たぶんでかくないと4MB/Secはでない、出る前に転送が終わってしまう)。350GBの初回バックアップは50時間くらいで終わりました。
リストアの方法も、通常のWebからzipでダウンロードのほか、28GBまで格納できるUSBメモリで送ってもらう方法($99)と1TBまで格納できるUSB-HDDで送ってもらう方法($189)があります。また、大量のデータダウンロード用に専用のダウンローダアプリケーションも配布されています(無料)。
Backblazeなら350GBのダウンロードも現実的な気がしますが、USB-HDDの郵送オプションがある事は安心材料の一つです。
Backblazeの復元も対象を選択して指示をすると、ある程度の時間をおいてzipファイルが生成されるようなので、 Glacier と同じようにどこかの奥深くに氷漬けされているのでしょうか。
個人向けのストレージサービスで考えると
ファイルは消さないし、ローカルに持っている必要も無いし、決めた場所に置いたら自動でアップロードするプログラムを書くのであれば、個人でも Glacier はありかもしれません。awsなので、どんどん価格も下がるかもしれません。なにより、S3はあの数のオブジェクトを1つも失った事が無いといいます。
自分は当面は Backblaze を使っていくと思います。4週間前までのバージョンを取り出せるということや、快適な速度が決め手です。 ビデオカメラの内蔵メモリは96GB、デジカメに刺してあるSDは8GB、これを自宅のマシンに繋ぐ事を躊躇しないですむ快適さは、絶対に必要です。
そんなものは要らないという人へ。
堅牢なデータセンターに格納されているわけではない個人宅のプライベートデータ。無くしてからでは遅いので、少なくとも複数のHDDに格納しておいた方がよいですよ…
※ドルは2012年8月21日21:49の為替相場で計算しています。外国通貨の利用には別途微額の手数料が乗るため、記載の日本円より、ほんの少し高くなることでしょう。