「 サービスがある程度完成してるクッ○○○○にエンジニアが居ついている理由も興味ある 」
サービスの大まかな形ができあがるとエンジニアは新しい何かを求めて辞めてしまうことがあると思っているので、ふと不思議に思いました。
※念のため言っておくと今自分が属しているエンジニアチームはサービス立ち上げ前から1人も辞めていません(もっといえばその前の動画共有サービスを旅する元AWSエバンジェリスト?から 押しつけられて もとい、引き継いで以来6年間誰も辞めていません。あくまでも現時点では…だけれども)。
理由も とあるのはもう一つ興味のあることが同時にあって、
「 あれ?D○N○ってフラット組織なの?あの規模でどうなってるのか興味ある 」
上意下達というか、上司がいて部下へ仕事を振っていく組織は、上司がふたになってしまって良くないと思っています。とは言っても、各プレーヤーが自由に動くのは大きな組織だといろいろな問題があるとも思っています。やはりふと不思議に思いました(この時点でフラット組織という定義について認識が誤っている)。
Facebookに書いたそんな疑問には、両社の中の人から素晴らしい回答をもらいました。
組織の形
なんとなく思っていることと認識があわなかったので、世でフラット組織をどんな組織として定義しているのかを確認してみました(おい)。
※両者の中の人からの回答については後で触れます。
ピラミッド型組織
適切なサイズに分割されたチームを適切な数に束ねた事業部、といった具合に階層になっている。大きな企業においてはまだまだ一般的なのではないかと思っている。
フラット組織
トップと実務を行う人たちの間の階層を薄くした組織形態。意思の伝達や決裁がスピーディになるという触れ込みでフラット組織にした会社は多い模様。1チーム30人に対して管理職が1人といった構成になるらしい。多くの人数を見る管理職や、大量のチームとのやりとりをするトップの負荷が異常に高くなりそう。
結局のところ、ピラミッド型は当然としてフラット組織もまだ階層型(Hierarchy)の組織なのでした。階層型である限り、各ノードの結節点がボトルネックであったり蓋であったりと良くない副作用をもたらすのではないか(2015年7月期のテレビドラマ「エイジハラスメント」ではレポートラインを飛び越えて五寸釘をブチ込む武井咲がイカしてますね)。情報のフィルタリングや責任範囲の分割を正義とするか悪とするかについては、理想とする組織像や仕事の仕方の違いなのでどちらとも言えません。ただし、結節点に不具合があった場合(辞めてしまったりした場合)には、すぐに結節点を取り替えられるように準備をしておかないと大きな問題が発生します。準備は組織的にコストをかけてメンバーに対して結節点になるための教育を行っていくことです。教育は組織的に認識してコストを払って行っていれば問題にはなりません、やれば良いですね。ただ個人的には、上司が蓋になってチームメンバーの能力を制限してしまうように見えるので好みではありません。指示されたことをやる、習ってないことはできない、ポテンシャルのあるメンバーがそう思い込むようになってしまったら、勿体ないですよね。
Holacracy®型組織
個人的にフラットだと思っていたのはこの形が近いのかな?と思っています。
理解し切れていないので詳しくはgithubにある Holacracy-Constitution や WikipediaのHolacracy を参照してもらうとして、簡単に言うと権限の分散システムでしょうか。マネージャーのいない、スタートアップの構成人数が数人の頃に行われているような状態が所帯が大きくなっても続いているようなもの。職域による人の区別ではなく、人は複数のロールをこなしながらアジャイルに目的に向かっていく組織。Holacracy®のモデルにはいろいろな定義やプロセスが規定されているけれど、基本的にはオープンソースで改変して適用しても問題が無いはず(ただし、Holacracyという名前を使った商用利用のプロダクトやサービスには HolacracyOne の許可が必要)。
事前に「当該分野の専門性を持つ人の意見を聞くこと」と「その意志決定の影響を受ける人の意見を聞くこと」 を条件に組織の目的に合致することなら意思決定は誰でも行える 1 。意思決定が早いどころではなく必要な人が意思決定を行っていくのでタイムラグなんて無い早さ。
権限が分散されるので、各人の自主性が重要で、受け身な人は存在できない。Holacracyの話になると必ず登場するZapposという企業は、Holacracyへの移行に伴い14%の社員が退社したとのこと(1500名中の210名)。
情報の透明性やコミュニケーション手段について
今見てきた組織の形態は ピラミッド型組織 → フラット組織 → Holacracy®型組織 という方向に向かっていくものではなくて、会社の業務内容や構成している人のタイプによって適したものは違うのだと思います。
日本の巨大な自動車の会社がフラット化したあとに「コミュニケーションや人材育成を基盤とした"職場力""チームワーク"は弱まりつつあるのではないか」 2 ということで揺り戻しが発生したらしいけれど、単に組織の形を変えただけだったり、そもそも構成される人によっては、そういった問題が発生することは理解できます(詳細は知らないので、いろいろ準備したけれど巨大すぎてやはり無理だったということかもしれない)。
ピラミッド型組織は上意下達の形をしているため、末端までは細かい情報を与えずに管理職が適切にリソース管理をして巨大な組織を動かしていくものでしょう。フラット型、Holacracy型と管理職が減ってくると情報の透明性とコミュニケーションが重要度を増してくるのではないかと思います。各人の裁量が増してくるため、情報が必要なるのだと思っています。
現在はマネージャーがいるというGoogleでも全てのコードに全エンジニアがアクセスできるようになっていますし、Buffer社に関しては全員の給与とその算定式までもが公開されています(Buffer社に関してはインターネット上にスプレッドシートが公開されています)。情報格差を極限までなくすことが自立する組織が機能するために必要と考えられているようです。
経済的リターンの無い団体での経験
django-jaで親分、ingressで小隊長という渾名で呼ばれてきましたが、心がけて何もしないようにしています。何もしないと言っても実務的なことはできる限りやる。目的というかビジョンについてはうるさくぎゃーぎゃー独りごちる。基本的にはこれだけです。django-jaのGoogle Groupsは1000人近いメンバーに、ingressはちょっと有名な地域となっています。
django-jaはすでに若者に託して引退をしています。若者に託した際には複数のおじさんから「綺麗に世代交代したねー!すごいよー」と感心されました。綺麗に移行できるのは、そもそも自分がいなくても良い状態を常に目指していたからです。単に実際的な役割を交代しただけです。ドメインを持っていたり、無償貸与をしていただいているサーバに関する窓口をしていたりと、引き渡すために実務上はやることはありましたけれども。もちろん、役割を自ら引き受けてくれた若者がいたからこそ実現できたわけです。
ingressに関しても、アドバイスをしたり、どういう状態を目指しているかをほんのり共有したりと、意識の共有ができていればメンバー全員がエリアボスwとして動きます。リアルタイム性のあるゲームで、実際に物理的な位置の移動が必要なingressでは情報の共有が重要でした。各人が自分が何をしていて次に何をするかについて共有を行うことで、他のメンバーは自分がどう動いたら効率よくゲームを進められるかを考えられるからです。
django-jaはlingrがちょうどはやった時期だったので初期はlingrで、ingressはGoogle HOで、それぞれチャットをメインに情報の共有を行ってきました。このチャットでは実際的なことが重要なのははもちろん、少しプライベートの切り売り的な側面が必要だと思っています。ingressではスイーツやランチ情報が頻繁に流れます。そして数ヶ月に一度遠足に出たりします(通常はFFと呼ばれるものをやるのですが、我々はその類いは非同期で、同期するときは普段あまり行かない地域に遠足に行きます)。
無駄話を通じてキャラクターやスキルが明らかになりつつ、連帯感が生まれると考えているからです(もちろん、無駄話それ自体が面白いのですが)。
ingressは諸事情によりしばらくほぼ隠居状態でチームの仲間には面倒をかけましたが、それでもやはり一色を維持していました(そして完全復帰できていない…)。
あ、職場では私の判子が上長と呼ばれています :-)
オレの理想の組織
各メンバーがアメーバ状に動く組織をイメージしています。身の回りに隙間があれば埋める、全員が融合しながら領域を広げていく、ある領域に強みを持っているメンバーが加わったらよける。そんなイメージです。完全なるself managedな組織です。
self managedな組織が機能し、継続していくためには最初に登場した疑問と回答が重要なことを示唆している気がします。
最初の疑問に対してもらった回答、○○○○ッドにエンジニアが居ついている理由がまた、非常に大事でうまくできていると感じました。
「毎日の料理を楽しみにすることで、心からの笑顔を増やす」がホントにやりたいこととして社内に文化としてあるので、まだ「少しだけ他より多めにレシピが集まっただけ」なのでっていう感覚
これはつまりヴィジョンの共有が行き渡っていて、かつ、内容が具体的なのに進みはすれど到達しないものに見えます。やることは無限にありつつ目的がぶれない。フラット組織であってもマネージャレス組織であってもヴィジョンがメンバー全員に浸透して迷わないことは大前提なのだと思います。
もうひとつ、self managedな組織の問題点は、ピラミッド型の組織と違って役職というキャリアパスが存在しないことです。 これについては、フラット組織な○e○Aでのキャリアパスについて尋ねたときにもらった回答がヒントになるかもしれないと思ってます。
その先にスペシャリスト目指す人いれば、マネージメント目指す人もいたりなど。私の場合はプロジェクトアサインする場合、将来何やりたいのか、何になりたいのかを知った上でアサインかける事が多いです。勿論全てが理想通りには行きませんけども。また、キャリアとかよくわかってない人も特性活かしたり、まだ経験した事無いのにチャレンジしてもらったり本当様々
○e○Aはフラット組織なのでマネージメントという方向がありますが、スペシャリストとしての方向性をキャリアパスとして見せていかれるのであれば、階層レスの組織でもキャリアパスが存在しているように感じられるのかもしれないということです。
実際にはいろいろな難しいところがあるでしょうから、愚痴りあうなかで出てくる解決に向かうアイディアや隠れている問題のあぶり出しに、 何年ぶりかの「湘南IT(だけじゃない)おいしいものを食べる会」の組織運営エディションを開催したい ところです。
ついでに、面白い組織作りたいってところは密かにお声がけを…(おい